先日の参議院議員選挙において、NHKから国民を守る党の立花孝志氏が当選したことは記憶に新しいですが、それから間もなく、様々なメディアで「N国党」というワードを見聞きするようになりました。
そして世論の流れを見て何か感じる部分があったのか、2019年7月30日にNHKの公式サイトにはとある文章が掲載されることとなります。
タイトルは「受信料と公共放送についてご理解いただくために」ということで、最近N国党が明言している「受信契約はするけど、受信料は踏み倒します!」という発言を受けて、ネット上などで出ている様々な意見に対してのNHKの見解のようなものが記載されていました。
「NHK、受信契約巡りサイトに警告文」という見出しで朝日新聞にも報じられていましたが、今回はNHKがどういう思惑でこのような文章を掲載したのかについて考えていきたいと思います。
受信料と公共放送についてご理解いただくために(原文)
NHKは、放送法に基づき、「いつでも、どこでも、誰にでも、確かな情報や豊かな文化を全国津々浦々にあまねく伝えていく」という使命を果たすため、みなさまからいただく受信料を財源として、自主自律を堅持しながら、命と暮らしを守り、地域を応援し、日本を世界に発信するなど、公共放送ならではのさまざまな放送事業を行っています。
このところ、「NHKを見なければ受信契約はしなくていい、受信料は支払わなくてもいい」と発言する人たちがいます。放送法や受信規約では、NHKの放送を受信できる設備をお持ちの方は、受信契約を結び、受信料をお支払いいただくことが定められています。受信設備があるにも関わらず、受信契約をしないことは法律を守っていないことになり、「受信料を支払わなくてもいい」と公然と言うことは、法律違反を勧めることになります。
NHKは、受信料をお支払いいただいているみなさまの不公平感を解消していくためにも、受信料制度や受信料の公平負担について、誤った認識を広めるような行為や発言に関しては、きちんと対応してまいります。NHKは放送法や受信規約にのっとって適切に業務を行っており、明らかな違法行為などについては、放置することなく、厳しく対処してまいります。
NHKは、引き続き、公共放送の役割や受信料制度の意義を視聴者・国民のみなさまに丁寧に説明してご理解いただき、受信料の公平負担の徹底に全力で取り組んでまいります。
NHKの放送受信料に対する動き
ミスリードを誘うような言い回し
上記文章では、やや強めの言葉選びでもって「法律を守っていない/法律違反を勧める」などの表現が使われています。
『「NHKを見なければ受信契約はしなくていい、受信料は支払わなくてもいい」と発言する人たち』がいるとのことですが、私はこれを読んで、読者のミスリードを誘っているかのような悪意を感じました。
というのも、NHKは断固として「テレビ(協会の放送を受信することのできる受信設備を設置)を持っていないなら受信料を支払う必要はない」とは言わないんです。
先日の裁判にもあったように「テレビがないならワンセグ機能付きのスマホは?」とか「ワンセグ機能付きのカーナビは?」というアプローチをしてきます。
個人的には、ここでテレビだのワンセグ機能付きスマートフォンなどの具体的な名称を出してしまうと、新たな端末が出た際に不都合が出るからじゃないかと思っています。
NHKの受信料を巡る問題に関しては、受信料を支払っていない人の中には「法律を守りながらも受信料を払っていない人」と「法律を守らずに受信料を払っていない人」がいるということは理解しておかなくてはなりません。
NHKの言い回しを正しく受け取ることが大事
この場で言っている『「NHKを見なければ受信契約はしなくていい、受信料は支払わなくてもいい」と発言する人たち』という表現は、正確に言うと『協会の放送を受信することのできる受信設備を設置しているにも関わらず「NHKを見なければ受信契約はしなくていい、受信料は支払わなくてもいい」と発言する人たち』を指します。
つまり何が言いたいかというと、NHKはあくまで「テレビを持っているのにも関わらず、NHKと放送受信契約を締結しない人」に対して警告しているわけです。
現行の日本の法律では「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、NHKと放送受信契約を結ばなければならない」という法律があります。
そして、協会の放送を受信することのできる受信設備には、テレビの他にもワンセグ機能付き携帯電話やカーナビ等も含まれるという、少しややこしい事情になっているのが現状です(そのうちインターネットも対象にしようと画策している模様)。
話を戻しますが、NHKが狡猾なのは『「NHKを見なければ受信契約はしなくていい、受信料は支払わなくてもいい」と発言する人たち』という表現をすることによって、受信料を支払わないことも問題であるかのような言い回しをしている点です。
テレビを持っているのにも関わらず、集金人に対して「テレビは持っていない」という虚偽の報告をしたり、あるいは「テレビは持っているけどNHKとは契約しない」と言い張ったりすることは、現行の法律では違反です。
ただし「契約は法律上の義務だから契約するけど、受信料は払わない」という行為は、法律違反ではありません。
大事なことなのでもう一度言いますが、テレビやそれに準ずる受信設備を持っている場合につき、NHKと契約することは法律で決められていますが、放送受信料の支払い自体は法律では定められていません。
NHKはありとあらゆる角度から、事実と一緒に自分たちにとって都合の良い情報を上手く混ぜてきます。NHKの言い回しに振り回されないようにしましょう。
受信料の公平負担の徹底とは?
受信料を支払っている人こそ怒るべき問題
私はNHKの放送を受信できる環境下にないので、NHKに対して受信料は払っていません。
…が、もし私が受信料を支払っている立場だったとしたら、NHKを見ているくせにお金を払っていない人には心底腹が立つと思います。
ちゃんとルールに則って受信料を払っている人の中にも「ウチは育児番組から報道番組、大河ドラマまで至れり尽くせりだわ~」という人がいる一方で「夏の甲子園を見るためだけに払っている」という人もいるでしょう。
受信料を払っている人の間でも、月々の受信料の額に対する不満は絶対にあるはずです。
それでも我慢して払っている人間が、なぜ我慢しなきゃいけないのでしょうか。そういう人たちを守るために、テレビを所有している人からは裁判でも何でもして受信料を取るか、それができないなら受信契約していない人にはスクランブルをかけて放送を見れないようにすればいいと思いませんか?
スクランブル化こそが公平負担の極み
NHKに放送受信料を支払っていない家庭には電波を流さない(スクランブル化)というのが、お金を払っている人と払っていない人を公平にする最も分かりやすい手段だと思います。
更に言うなら「育児番組やニュースは必要だけど、娯楽関係は民間に任せてもいいんじゃないか?」という意見を持っている人も山ほどいるはずです。
そもそも育児番組や報道番組で、1世帯から月々数千円も徴収しなければならないほどのコストなんか掛からないはずなので、お金のかかる娯楽(スポーツ放映、ドラマ制作)は有料コンテンツにすれば良いのでは?
まず払っていない人には電波を止める。これは水道、ガス、電気と言った公共料金と同じルールです。
そして払っている人に対しても「育児番組は月額300円/報道番組は月額500円」など細分化して放送するのが、完全な公平負担ではないでしょうか。
どうしても「NHKがないと災害時や緊急時に困る」って言うなら、もう税金でやり繰りしてください。
そして紅白歌合戦などは無くなっても困らないという人も多いはずなので、有料コンテンツにして見たい人だけがお金を払って見られるような仕組みにしたら、今よりもずっと公平負担になると思います。
結論:NHKは公平負担の意味を考え直してほしい
NHKの在り方として、偏向報道などを問題視している人も一定数いるようですが、それ以前に「必要ないと言われているものを無理やり押し付けて、お金をふんだくる」という行為そのものに違和感を感じます。
NHKが本当に心の底から「受信料の公平負担の徹底に全力で取り組んでいく」というのであれば、本当にNHKを必要だと思っている人を大事にした方がいいのでは?