NHK上田会長がN国に初めて言及し「受信料は負担金。放送の対価ではない」と発言

 

NHKの上田会長が、2019年9月5日に開かれた定例記者会見において、先の選挙戦から初めてN国党の存在について言及する場面がありました。

 

2019年の参院議員選挙によって1議席を獲得し、今や公党として活動しているNHKから国民を守る党(N国党)に対し、水面下では特別番組を作って報道したりなどの対抗処置はしていたものの、公の場で会長自らが発言したのは今回が初めてです。

 

以下では、N国党に対する意見を求められ、NHKとしての考え方を主張した上田会長の発言について掘り下げていこうと思います。

 

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NHK会長、上田氏の見解について

これまでにもN国党は、NHKの会長である上田氏への面会を希望するアクションを起こしていますが、いずれも相手にはしていませんでした。

<<NHKが逃げた!NHKの上田会長がN国党立花氏との面会を完全拒否

 

公の場において、N国党に対して何らかの発言をしたのは、今回の定例会見が初めてです。

以下では、NHK上田会長の主張について簡潔にまとめていきます。

 

NHKから国民を守る党が1議席を獲得した件について

今年7月の参院選で「NHKから国民を守る党」が議席を獲得したことは、我々にとっても記憶に新しいです。

(それから色々あり過ぎて「まだあれから2ヶ月しか経ってないの?」という感はありますが)

 

これに対して上田会長は「民意の一つとして受け止める」とした上で、「受信料は、公共放送の事業を維持運営するための負担金であり、放送の対価ではない」と受信料制度に対する理解を求めています。

 

N国党がスクランブル放送の実現を主張している件について

N国党はワンイシュー政党として「NHKのスクランブル放送の実現」を掲げて、参議院議員選挙に当選しました。

 

これに対しては「NHKに求められる公共の役割とは相いれない」と否定的な考えを示し、「受信料を財源とすることで、特定の利益や視聴率に左右されず、社会生活の基本となる確かな情報を提供できる」と強調しています。

 

ここで言う社会生活の基本とは、災害報道などの有事の際を指し示しているようです。

 

N国党党首の立花氏が受信料の不払いを明言している件について

N国党党首の立花氏は、わざわざ自分で議員会館にテレビを設置し、堂々とNHKの放送受信料を踏み倒すことを宣言しています。

 

そしてそれを受けて、大阪府知事や大阪市長が「国会議員が放送受信料を支払わないのであれば、自分たちも支払わない」という旨の発言をしたことで、大変大きな話題となりました。

 

これについては、NHKの立場として終始一貫している対応を貫いており、「放送受信契約に基づいて支払いを求め、公平負担のため適切に対処する」としています。

<<NHKが放送した3分動画「受信料と公共放送についてご理解いただくために」が意味するもの

 

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上田会長の発言について掘り下げてみる

受信料は、公共放送の事業を維持運営するために必要

まず「受信料は、公共放送の事業を維持運営するために必要」としています。

 

確かに育児番組などの採算の取れない番組を放送したり、スポンサーを付けることが望ましくない国会中継とか、そういう番組を放送するのに受信料が必要だという理屈は理解できます。

そして、それが「税金でやれ」となってしまうと、公共放送ではなく国営放送となってしまうため、それをしたくないという理屈も理解できます。

 

ただ、公共放送というものを維持するのに、月々1300円(衛星だと2000円ちょっと)もの費用が必要だとは全く思いません。理解もできないですし、理解したくありません。

4Kだの8Kだのやってるみたいですが、それって本当に公共放送に必要ですか?災害の状況を伝えるのに、高度な画質って必要ですか?

 

受信料は負担金

上田会長は「受信料は負担金。放送の対価ではない」という発言をしました。

恐らくこの発言の意図としては「受信料は負担金であって、見る・見ないによって料金が発生するものではないから、みなさんしっかりと払ってください」ということが言いたいのだと思います。

 

まず負担金が何なのかについて軽く触れておくと、「水道や電気のように使用に応じて料金が加減されるものでは無い」という種類の料金のことです。

分かりやすく例えると「割り勘で参加する飲み会のようなもの」で、本来必要な会計に対して、人数で割るというのが負担金です。

 

つまり、NHKの受信料を支払わない人がいるというのは、NHKが損をしているのではなく、「受信料を支払っている人たちが、支払っていない人たちの分も負担している」ということになります。

<<N国党立花代表の「契約はするが受信料は払わない」の真意とは?

 

「放送の対価じゃない」と言い切ってしまうあたり、一般人からすると違和感しかない発言に思えませんか?

せめてそこは「支払おうと思ってもらえるような組織作り、番組作りに努めてまいります」というような、受信料に見合うだけの対価を提供するという姿勢を見せてもらいたかったものです。

 

災害時はスクランブルを解除すればいいのでは?

N国が主張しているスクランブル放送については、「受信料を財源とすることで、特定の利益や視聴率に左右されず、社会生活の基本となる確かな情報を提供できる」としています。

 

スポンサーを付けてしまうと、「そこに忖度することになり、公平中立な報道ができない」ということが言いたいのだと思いますが、過去に「政府が右と言っているものを左と言うわけにはいかない」という発言があったように、「受信料を財源としている今現在も、特定の利益や視聴率に左右されているのでは?」という気がしないでもないです。

 

特定の利益というのは、まぁ予算を組んでくれる国会とか、それに対する決定権を持つ国会議員とかですね。

国会でNHKの予算を認めてもらうために、国会議員に便宜を図ったり、あるいは「国会議員の不利になるような報道をしないようにする」などの配慮があっても、何らおかしくないような気がしませんか?

…と、思ったり、思わなかったり(これについては私が勝手に考えているだけで、そのような事実があるという意味ではありません)。

 

いずれにしても「スクランブル放送したら、有事の際に受信できない人が出てきて困るでしょ!」という主張なんだと思います。

そういう時はスクランブル放送を解除したらいいのでは?どんだけ銭ゲバなんだよって話です。なんなら、有事の際の放送受信料くらいは税金でやれるのではないでしょうか。

(地震や洪水などがあった場合に、誰かに忖度しなければならない事情があるんだとしたら、また話は別ですが)

 

ただでさえ現時点で「受信料を支払っていない人がNHKを見ようと思ったら見ることができる」という不公平さが露呈しているのに、今さら「受信料を払っていない人が有事の際にスクランブルを解除されるのはズルい!」とか言い出さないと思いますけど…。

それが懸念されるのであれば、有事の際の報道については最低限の規模に縮小して、その分の料金は受信料を支払っている人からも取らなければいいです。

そして、その分でも機材費や人件費などの費用が発生するのであれば、そこは税金でやって欲しいと思います。

 

災害が起きた時に実際に動いているのは「国土交通省」です。NHKはそれを伝える手段にしか過ぎないので、多額の費用は必要ないと思われます。

 

不払い発言については、明言を避けるようなカタチ

N国党党首の立花氏は、堂々と受信料を踏み倒す宣言をしています。

公平・中立を謳っている以上、相手が国会議員だからと言ってスルーするなんてことは、あってはならないことです。

現に「国会議員が不払いで許されるなら、うちも払わない」と発言している自治体もいます。

 

これについては、かねてからのNHKの主張通り「放送受信契約に基づいて支払いを求め、公平負担のため適切に対処する」との発言に留まりました。

 

NHKが公表しているデータではなく、あくまでN国党党首の立花氏がYouTubeチャンネルで発信している情報ですが、「NHKは明らかに訴訟する人間としない人間を区別している」と言います。

裁判を恐れている人間に対しては強気に出て、その逆だと訴えない傾向が強いと言うのです。

 

それが本当かどうかはさて置き、NHKとしては立花氏の不払いを容認するわけにはいかないでしょうし、もし裁判に発展するようなことがあれば、立花氏は「負担金であることを主張し、支払っていない人の分は絶対に支払わない」という角度から戦うとしています。

 

上の方でも軽く触れたように、NHKの放送受信料は負担金です。これは上田会長も明言しています。

いわば現在の受信料というのは、支払っていない人がいるせいで上乗せされている分も含んでいる料金なので、「80%の人間しか払っていないのであれば、上乗せされている20%分の料金を支払うつもりはない」という主張をしようというのが立花氏の考えです。

 

ぜひともNHKは立花氏を訴えていただき、現在の司法がどのような判断を下すのか、見守りたいと思います。

 

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結論:日頃のNHKの行動や考えは、上田会長の思想とほぼ一致

NHKのような非常に大きな組織となると、トップの考えと従業員や幹部の考えに大きな隔たりがあり、意見の不一致が出てくることも珍しくないんじゃないかと思っていました。

…が、受信料に対する考えに対し、世間の考えと大幅にずれているのは組織全体の話だったようです。

 

上田会長の考えでは「受信料は負担金であって、放送の対価ではない」らしいので、N国党がここからどう切り崩していくのか、とても楽しみにしています。

(というか、N国党はNHK問題以外の部分で賛否両論ある行動が多すぎるし、N国党以外の国会議員の人たちもNHK問題について、それなりにやってくれればいいのに)