2020年4月7日、NHKから国民を守る党の立花孝志党首が「NHKの顧客情報を不正に入手し、動画サイトに投稿するなどした」として、書類送検されたというニュースが上がっていました。
これは先月14日に立花氏が警察から事情聴取を受け、N国党のコールセンターに家宅捜索が入った時のもので、出来事そのものは昨年9月、立花氏がNHK集金人のナビ端を撮影し、YouTube動画としてアップした一連のことに対する書類送検です(動画上では個人情報にはボカシが入っていました)。
立花氏は、N国党から選挙に当選しておきながら離党した二瓶議員への脅迫容疑でも書類送検されているわけですが、こちらも現時点では起訴に至っていないという点を踏まえても、「立花孝志、書類送検!」と報じたいマスコミの策略の一環と言えるのではないでしょうか(もちろん起訴→訴訟という流れになる可能性は否定できません)。
とりあえず「警察から事情聴取をされて、書類送検された!」と報じるだけでネガティブキャンペーンが可能であるという側面もあるので、私なりに今回の立花氏に対する書類送検について解説していきたいと思います。
不正競争防止法違反などの疑いで書類送検された一連の流れと解説
2019年秋、NHK集金人による金銭犯罪が発生
NHKの契約者名簿を基に高齢者からキャッシュカードを盗み、現金を引き出したとして、窃盗罪に問われた愛知県長久手市の無職、大浦悟被告(21)の初公判が20日、名古屋地裁(西沢恵理裁判官)で開かれ、大浦被告は「間違いない」と起訴内容を認めた。
大浦被告と共謀したとして、受信料の集金業務を受託していた会社の社長、藤井亮佑被告(29)も同罪に問われ公判中。
検察側は冒頭陳述で、昨年9月上旬ごろから特殊詐欺の「受け子」として活動していた大浦被告は報酬が少ないと感じ、同月中旬、知人の藤井被告に契約者の情報入手を持ち掛けたほか、窃盗の実行行為も担ったと指摘した。弁護側は争わない姿勢を示した。
起訴状によると、2人は共謀、警察官を装った大浦被告が昨年9月、名古屋市や同県春日井市の70~80代の女性3人の自宅を訪ね、カード計4枚を盗み、現金計約250万円を引き出したとしている。〔共同〕
<<日本経済新聞
2019年秋に、NHKの集金人がお年寄りを騙してクレジットカードを盗み、そこから現金を盗むという犯罪が発生しました。
このニュースがテレビでどれだけ報じられていたのかは分かりませんが、立花氏の今回の書類送検は、これが発端となっています。
特殊詐欺の受け子をしていて、お年寄りからカードを盗んでお金を引き出したという大浦被告は、これだけの情報でも真っ当な立場の人間かどうかは疑わしく、この人が悪いということは火を見るよりも明らかです。
そしてこんな人と知り合いで、簡単に個人情報のやり取りをしていたというNHK受信料集金を請け負っていた会社の社長である藤井被告も、果たして真っ当な人間なのでしょうか。
いずれにしても特殊詐欺をするような人と近い位置にいる人間に、受信料集金の業務を委託しているNHK、このような組織に全く責任がないと言えるのかどうかというのが1つのポイントです。
特殊詐欺をしていたというだけで反社と見なせるのか、その人と近しい人間だったというだけで反社と見なせるのかはさて置き、「カタギかどうかも、かなりグレーな存在だったのでは?」と考えてしまうのも変な話じゃないと思いませんか?
そして反社、あるいは反社のような人間にNHKの放送受信料の集金を依頼し、そこで起きた不祥事を「うちは知りません」で逃げるNHKのやり方は、果たして許されるのでしょうか。
2019年秋、NHK集金人のナビ端を撮影し、動画化。
前項でご紹介した犯罪を受け、内部告発のような形でN国党の立花氏に情報が寄せられることとなります。
今回の立花氏の書類送検に関する大きな要素の1つが、NHK集金人の方からの情報提供を受け、立花氏がその人の協力を得て、集金人が持つナビ端を撮影したというものです。
内部告発の内容としては「NHKのナビ端における個人情報の管理が杜撰だから、いわゆる詐欺のような犯罪が出たのではないか」というもので、その情報の提供先が今をときめく週刊文春系の雑誌社ではなく、N国党の立花氏だったというわけです。
その流れで立花氏は、その内部告発者からの協力でナビ端を撮影し、個人情報部分にはボカシを入れながらも「集金人はやる気になればこの情報を悪用できる」という問題点を指摘し、誰でも彼でも簡単に受信料の集金業務を受けられる今の体制には問題点があるのではないかと指摘しました。
(かねてから立花氏は、NHKの集金人にはヤ〇ザや反社会的勢力がいると訴えています)
言葉を選ばずに言うと「反社会的勢力のような人間に個人情報を預け、それが原因となって詐欺事件も発生しているわけだから、これは直ちに改めるべきだ!」という旨の主張を、内部告発された情報を武器に、立花氏がNHK会長に対して行ったという流れとなっています。
2020年3月14日、家宅捜索
立花氏のYouTubeチャンネルを見ている人ならお分かりかと思いますが、通常時とは異なる形式で、警察からの事情聴取を受けたという旨の動画がアップされました。
肝心の動画は削除されてしまったようなので具体的な日時は忘れてしまいましたが、確か3/13に録画・撮影した動画を3/14にアップしたとか、それに近い時系列だったと記憶しています。
これまでにご紹介してきた一連の流れに関する任意の家宅捜索、そして任意の事情聴取というかたちです。これが2020年4月7日の書類送検へとつながります。
この時の家宅捜索に関してはネットニュースでも大きく取り上げられており、恐らくテレビでも「N国党党首、立花孝志が家宅捜索!」という感じで、大きく報じられたのではないでしょうか?
あまり立花氏を知らない(あるいは過激な部分しか知らない)という人にとっては、「また立花が何かしでかした」くらいにしか思わなかったのではないかと思いますが、冷静に考えてみると、「NHKの問題点を指摘したら、それをNHKに別角度から反撃された」という感じじゃないかと思います。
法律的に見れば、立花氏の行動に問題があったのかどうかは不明です。それは今後、書類送検されてから起訴されるかどうか、もし起訴されたなら裁判で明らかになっていくでしょう。
ただ、今回の件はあくまで内部告発から始まっていますからね。立花氏も色々と問題のある行動が目立ちますが、それを少しでも目立つようにマスコミが報道しているという側面もありますし…。
何より今回の件で言えば、NHKの個人情報の管理が杜撰だから、それを改善して欲しいという想いからの行動であるということは知っておくべきではないでしょうか。
不正競争防止法違反(営業秘密の領得)と威力業務妨害の疑い
さて、今回の書類送検の内容は「不正競争防止法違反/威力業務妨害」の疑いです。ちなみに立花氏に内部告発をした(元)NHK集金人の方についても、同容疑で書類送検されています。
不正競争防止法違反は、情報提供者のNHK集金人から個人情報の基となるナビ端を通じて、NHKが所有している個人情報を得たことに対して。
威力業務妨害は、情報が見えないように加工した動画をネットに投稿し、拡散防止のための対応に当たらせて業務を妨害したということに対してです。
法律上は、確かに個人情報を不正に取得したと言えそうですし、業務を妨害したということにも当たるのかなぁと思いますが…。
そもそも業務に必要とは言え、個人情報を提供しておいて受信料の集金を委託しておきながら、都合が悪くなったら「下が勝手にやっただけ」で、NHKにはお咎めなしっていうのも違和感が残ります。
これまでの書類送検とは種類が違う!?
こちらは3月14日に警察の事情聴取を受けた後の立花氏がアップした動画です。
これまでにも立花氏は何度か書類送検されており、直近ではN国党から出馬して議員になった後、離党した二瓶文徳氏に対しての脅迫罪で書類送検されたばかり。
確かにモラルや一般常識などから見ると、お世辞にも行儀が良いとは言えない立花氏ではありますが、これまでに書類送検されてきた時は「絶対に起訴しろよ!」くらいの勢いで凄んでいた印象があります。
日本では起訴されれば、ほぼ有罪になるというデータが示している通り、逆に言えば有罪に出来なさそうな事案は起訴自体を見送られる傾向が強いです。
つまり被害届が出されれば、警察は捜査をしなければならないし、警察が捜査をしたら検察に捜査内容を伝える(書類送検)のは当然と言えます。ですが「書類送検された!」と聞くと、何となく悪いことをしたような印象がありますよね?
以上のことからも、これまでの立花氏には「書類送検はされても起訴はされない自信がある=仮に起訴されても有罪にはならない自信がある(有罪になったら議員を辞めると主張していた時期もあった)=マスコミが印象操作の意味で悪意を持って書類送検を大々的に報じているだけ」という主張が見られました。
ですが、今回の件はいつものような勢いがなく、どちらかと言えば「やってしまったことは反省しています」「然るべき罪を受け入れます」というような感じがします。
法律的な見解は非常に難しいので、今回の書類送検が起訴に繋がるのか、もし訴訟に発展した時に有罪になるのかは現段階では分かりませんが、これが万が一有罪になるようなことがあれば、法に触れずにNHKほどの大組織を内部告発するというのは、極めて難しいのかなとも思わざるを得ません。
結論:NHKの問題も無視できないのでは?
個人的に今回の件においては、各マスコミはNHKの息がかかっていて「立花こそが悪で、立花が勝手に暴走しているだけ」と報じ、核となる部分にスポットが当たらないようにしているような印象を受けます。
確かに法律的な観点から言えば、立花氏が起訴されて有罪になる可能性があるのかも分かりませんが、今回の件の本質から見てみると、仮に立花氏が起訴されて有罪になったとしても根本的な問題は解決しません。
そして書類送検はマスコミの造語であり、あくまで書類送検。逮捕や有罪などとはかけ離れた言葉ですが、一部「書類送検=悪いことをした」と思わせるには十分なインパクトも含んでいるように思うので、今後も冷静に物事を見ていきたいと思います。