放送の受信を目的としない受信設備って何?

私はNHKの受信料、視聴料を払っていません。

人によっては「NHKを見ていないから払いたくない」という人もいるようですが、私の中の考えでは「その言い分はもっともだけど、残念ながら今の日本の法律では認められない」と思っているので、私はテレビを捨てることを選択しました。

 

最近はNHKの集金人が起こした問題は、YouTubeなどを通して私たちの耳にも届くようになってきました。

以前までは民法の忖度なのか何なのか、あまりNHKに不利になるような報道や番組はなかったわけですが、ネット情報では真偽のほどは不明にしても様々な情報が流れてきます。

 

さて、今回はシンプルに「テレビは持っているけどNHKなんか見ないし、受信料は払いたくない」という人に向けた記事を書いていきたいと思います。

テーマは「放送の受信を目的としない受信設備って何?」です。

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NHK集金人とのバトル

不毛な争いは避けるに限る

みなさんはNHKの集金人とバトルをしたことがありますか?

 

すいませーん、NHKです。受信料の徴収にお伺いしました。お部屋にテレビがあるならNHKと契約しなきゃいけないということは法律で決まっているので、ただちに契約してください。

おいおい、みかじめ料かよ。まぁ出たらやりとりとかすっげー面倒そうだから、とりあえず居留守決め込むか。

 

私はネット上に転がっている情報で「テレビは無いと答える→「証拠を見せろ!」と恫喝される→家に上がり込んでこようとする」という情報を見て、すごく面倒くさそうに感じたのでテレビを所持しないという選択肢を取りました。

これが本当かどうかは定かではないものの、私のイメージで「NHKならやりかねないな」と思ったこともあります。

何より「証拠を見せる必要があるのか?」という部分も引っ掛かったりして、自分がやられたわけではないにも関わらず、すごく嫌な気持ちになったのを覚えています。

 

さて、個人的には完全無視(居留守)を決め込んでいるわけですが、仮に家の中に入ってこられたとしてもテレビはないので、何も後ろめたいことはありません。

しかし、それでもやっぱ得体の知れない集金人を部屋に上げて「ね?テレビないでしょ?」というやりとりは非常に面倒くさいと感じます。もうオッサンの私ですらそう思うくらいですから、女性の方だと恐怖感もセットなんじゃないでしょうか。

 

一説には「勝手に家に上がり込む」という行為は、住居侵入罪に該当するのではないかということで「集金人は家に上がって確認しようとまではしてこない」とも言われています。

ただ、集金人にも色々いると思うので、もし集金人が家に上がってくるような素振りを見せたら、直ちに「お帰りください」と意思表示をし、それでも帰らなければ警察に電話をすればOKです。

あとは裏付けのために録画・録音しておけば万全だと思います。

<<受信料の断り方|NHKの集金人、撃退マニュアル【2019年版】

 

一言文句を言わないと気が済まないという場合

すいませーん、NHKです。受信料の徴収にお伺いしました。お部屋にテレビがあるならNHKと契約しなきゃいけないということは法律で決まっているので、ただちに契約してください。

また来やがった!でも無視無視…息を殺して…。ってか、なんで悪いこと何もしてないのに、借金取りにおびえるように肩身の狭い思いをしなきゃいけないんだ?

この家ずっと不在だな…。でも電気料金のメーターを見る限り、家の中には居そうなんだけど…。もうちょい粘ってみるか。

ごめんくださーい、いるんでしょー?いるのは分かってますよー。

俺は家に居るけど、お前らNHKはいらん!早急に去ね!

 

私のように「NHKがウザいから、だったらテレビいらない」って割り切れる人は問題ないと思いますが、中には「テレビを捨てるのも癪だし、でもNHKを見ていないのは事実だし、そういう人でも受信料を払っていないという人は五万といるわけだから、毅然とした態度で払わないという意志表示をしよう!」という人もいるかと。

こういう人の中には「テレビは無いって言えば済む話だけど、悪いことをしていないのに何で嘘をつかなきゃいけないんだ?」と考える人もいるんじゃないかと思います。

 

そして、訪問してきたNHKの集金人に対して「テレビはあるけどテレビは見ていない(あるいはNHKを見ていない)から、受信料は払いたくない」と答えている人も多いのでは?

個人的には、これが相当な悪手だと思っているんです。

 

「テレビを所持=法律で決まっている」は正しい?

なんだ、ちゃんと居るじゃないですか。テレビをお持ちならNHKと契約しなきゃいけないというのは法律で決まっているので、契約してもらいますね。

そんな法律、学校で習ってねーよ。あれか?新たな詐欺か何かか?その手には乗らないぞ!

いえ、放送法第64条でちゃんと決められている話です。実際に裁判になった例もありますし、ちゃんとNHKが勝っています。だからテレビをお持ちなのであれば、この場で契約してもらっていいですか?

ぐぬぬぬぬ。去ね!

 

私はこんな面倒なやりとりをNHKの集金人と繰り広げたことはありませんが、何かにつけて放送法第64条とか法律で決まっているということを言ってきて、裁判の事例なんかも挙げつつ「ちょっとビビらせて契約させようとしてくる」という話を山ほど聞いてきました。

法律って一般常識では語れない部分が多々あって、専門家でもない限り判断が難しくなってしまうケースが本当に多いですし、そういう知識を持っていないという人は「法律的に…」と言われてしまうだけで、ちょっとビビってしまうんじゃないでしょうか。

 

裁判なんて言われたら、負けたらどうなるのかって部分も不安ですし、弁護士費用とかも掛かるんじゃないかとか、会社や学校を休めるんだろうかとか、なんなら「裁判になっているってことが会社や学校に知られてしまったら、その時のマイナスって大きいんじゃないか」とか。

良いか悪いか以上にノイズも多くて、中には「面倒くさいから払ってやるよ!」ってなってしまう人も出てくるのではないかと思います。

 

ちなみにこのケースで言うところの「テレビを持っている=NHKと契約しなきゃいけない」というルールは、おおむね正しいです(非常に残念ですけど、それが今の日本の法律です)。

常識人ほど「マジかよ!」って思うかもしれませんが、その根拠は放送法第64条に明記されています。

 

協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。ただし、放送の受信を目的としない受信設備又はラジオ放送(音声その他の音響を送る放送であつて、テレビジョン放送及び多重放送に該当しないものをいう。第百二十六条第一項において同じ。)若しくは多重放送に限り受信することのできる受信設備のみを設置した者については、この限りでない。

放送法第64条

法律なので難しい言葉でつらつらと書かれています。一般人にとって取っ付きにくいと感じてしまう文面ですよね。テレビを「協会の放送を受信することのできる受信設備」って…。

まぁ法律の文面で「テレビ」って書いちゃうと、テレビのような物が出てきた時に対応できなくなるからってことなんでしょうけど、こういう部分が本当に面倒くさい。

 

いずれにしてもこれを噛み砕いて分かりやすくすると「テレビ(あるいはそれに準ずるもの)を設置したら、NHKと受信契約を結ばなければならない」となっています。

受信契約は「地上契約か衛星契約か特別契約かという区分になるので、この段階で事実上の『金払え案件』となる」と言っても過言ではありません。

 

放送の受信を目的としない受信設備とは?

前項では「テレビを所有=NHKと契約しなきゃいけないというのが法律で決まっている=契約すると受信料を払えと言われる」と説明しました。

しかし放送法第64条には、但し書きとして「放送の受信を目的としない受信設備を設置した者はこの限りではない」という文言も記載されています。

 

これ、一般的な人が解釈したら「NHK受信を目的としていないテレビならセーフじゃね?」って思うはず。「そもそもテレビとして使用せずに、単なるモニターとして使用するならセーフじゃね?」っていう考えは妥当に思えませんか?

そしてそれを知った一般の方が、受信契約のために訪問してきたNHKの集金人に対して「テレビはあるけど、テレビとして使用してないから受信契約の義務はない!」と伝えるという事例が結構あるようです。

 

ネット情報を見ていても、ここを取り上げて「NHKと契約する必要はない!」と断言している方も少なくありませんが、個人的にはこれは非常に危険だと思っています。

というのも「放送の受信を目的としない受信設備とは何なのか」という話になった時に、真っ先に思い浮かぶのって携帯電話(スマホ)だと思うんです。

 

誰も「テレビ見れるからスマホ買おう!」なんて思わないでしょ?通話とかメールとかSNSとか…あとはゲームやらネット視聴やらを目的にしている人はいても、わざわざテレビを見るためにスマホを買う人っていないじゃないですか?

居たとしてもそれはごく少数の変わり者であることは間違いないので、スマートフォンは放送の受信を目的としない受信設備って表現にぴったりだと思ったんです。

 

しかし残念ながら、ワンセグ機能付きのスマホにおけるNHKとの受信料裁判では「ワンセグ機能付き携帯電話を所持している場合は、NHKと放送受信契約をしなければならない」という判決が出ています。

<<ワンセグ機能付き携帯電話やスマホでNHKと契約をしなきゃいけないかどうか(裁判事例)

 

これについては2019年3月現在控訴中で、判決は最高裁に委ねられることになっているのでまだ確定したわけではありませんが、個人的には「現在の放送法ではやや厳しいかな…」という印象を持っています。

2019年3月12日に最高裁で確定しました。

 

こんなクソみたいな法律は変えていくべきだと思うわけですが、なかなかね。

いずれにしてもワンセグ機能の付いているスマホが放送の受信を目的とした受信設備だと言われてしまったら、もうテレビはどんなに頑張ってもテレビでしょ。

 

テレビはあるけどゲーム用のモニターとして使用してるから、放送の受信を目的としていない受信設備じゃろ?

いえ、テレビそのものがじゃろ放送の受信を目的としている受信設備になります。だってアンテナ線繋いだらNHK見れるじゃないですか?

ぐぬぬぬ。去ね!

 

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では「放送の受信を目的としない受信設備」って何?

ワンセグ機能付きの携帯電話もダメ、アンテナ線を繋いでいないテレビもダメ。

じゃあ「放送の受信を目的としない受信設備って何?」って思いませんか?どうやらNHK側が用意してくる答えというのが「防犯用モニター」なんだそうです。

そして家電量販店で大量に置かれているテレビの数々も受信料の対象外で、これについては「放送の受信を目的としているのではなく、テレビの画質を確認するため」なんだとか。…ここまできたら、もうギャグでしょ。

 

ちなみに色々調べていたら非常に面白い事案がありました。

かつてNHKの公式ホームページに掲載されている「よくある質問」のコーナーにて「テレビをビデオやDVDなど再生専用に使用する場合の受信契約は必要か」という内容の質問が掲載されていたようです。

それに対するNHKの回答が「アンテナを取り付けていなかったり、事業所において職員の研修専用で使っている実態がある場合など、明らかに再生専用であれば受信契約の対象外となります」としっかり掲載されていました。

 

テレビをビデオやDVDなど再生専用に使用する場合の受信契約は必要か

これは過去のNHKの公式ホームページに掲載されていた内容です(インターネットアーカイブというもので、過去のホームページの内容が確認できるというサービスです)。

現在のNHKの公式ホームページからはこれらの文言がごそっと削除されていますが、当初はNHKも「アンテナ線を繋いでいないテレビ=放送の受信を目的としていない受信設備」という見解だったんでしょう。

 

恐らくそれを理由に受信料を払わない人が増えてきたので、自分たちにとって都合が悪くなったから削除したというところでしょうか。

最後にしれっと「担当者が判断します」って書いてるあたりが、ズルいと言うかセコいと言うか…。

 

正直言って、ネット上を調べているとこれらのことを根拠に「アンテナ線を繋いでいないテレビなら大丈夫だよ」という声も多々ありますが、実際にそれで裁判に発展して勝った・負けたの判例がない以上、軽率に大丈夫とは言えないんじゃないかと思います。

そもそも、そんなにテレビって良いものですか?私はテレビ無しの生活をもう5年以上送っていますが、案外悪くないですよ。少なくとも今のテレビに月額2000円の価値はないと思いますが、いかがでしょうか?

 

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裁判になったらどうなる?

放送法第64条第1項の但し書きには「放送の受信を目的としていない受信設備は、この限りではない」と書かれています。

そして、NHKは「それに該当するのは防犯モニターや家電量販店に設置されているテレビ(画質確認用)である」という見解を示しているわけですが、これが法律で謳われているわけではありません

言葉を選ばずに言うと「NHKの勝手な法解釈」です。

 

前項でご紹介したように、NHKもかつてビデオ放送やDVD放送を目的としたテレビは、これに該当しないとしていました。それを勝手に削除し、無かったことにしようとしているのは、紛れもなくNHKです。

というわけで、あなたが思う「放送の受信を目的としていない受信装置に、NHKとの契約義務が生じるかどうか」については、判例が出ていないのであれば、その都度司法が判断することになります。

 

とは言いながらも、あくまで個人的な考えになりますが、ワンセグ機能付き携帯電話やワンセグ機能付きカーナビが、放送の受信を目的とした受信装置だとして認められてしまっている以上、ここで争うのは無謀じゃないかなという考えです。

私たち一般人にとって理解しがたい判決が出ると「裁判官がNHKに忖度した」とか言う人もいますが、悪いのは全て「現行の放送法と知る権利のバランス」ではないでしょうか。

 

放送法なんか各家庭にテレビが普及してなかった頃、それもまだ放送局がNHKしか無かった頃にできたような法律ですから、いわば化石みたいなもんです。

今まで何度も改正するチャンスがあったのに、それをしてこなかったのは国会議員が怠けていたことと、私たちがもっと声を挙げてこなかったことが原因だと思います。

今こそ大きな声を発して、放送法の内容を現代に合ったものに改正してもらいませんか?

 

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結論:放送の受信を目的としない受信設備=防犯モニターという解釈はNHKの勝手な法解釈

NHKのせいでテレビを持たないという選択肢を取らされてしまうことに対して、心から我慢ならないという人も多いと思いますし、私自身も本当におかしな法律だなぁと思います。

何がおかしいかって、法律のクセに守らなかった時の具体的な罰則がないって部分です。法律って守らなきゃならないものというよりは、どっちかっていうと「守らなかったらこういうペナルティがありますよ?」ということで、ある程度の抑止力を持っていると思うんです。

 

守らなかった時に「〇〇円の罰金を払ってもらいますよ/〇〇年刑務所に入ってもらいますよ」っていう罰則がないルールって特殊じゃないですか?

「罰則が無い=守らなくていい」とは思いませんが、どうやってお金を取るかばかり考えるのではなく「どうやったら受信料を払ってもらえるようになるのか」という部分にリソースを割いて欲しいと思います。