2019年の参院選で見事に当選を果たした、N国党ことNHKから国民を守る党の代表・立花孝志氏は、議員会館の事務所に置くテレビについて「法律で決まっているからNHKとの契約はするが、受信料は支払わない」と明言しました。
これは多くの人が勘違いしているであろう問題提起をするのと同時に、新たな戦術を含んでいます。ちなみに問題提起については以下の通りです。
- テレビを所有した際の受信契約→法律で決められており、守らなければ法律違反
- 契約した際の支払い義務→法律には定められていない
これはこれまでにも散々言われてきたことですが、明確な形で報道されなかったり、NHKの集金人による説明が誤ったものであったりすることで、正しい情報を知らないという方も大勢いらっしゃるのではないかと思います。
そして今回の本題は「立花氏が受信料を支払わないと言ったことの真意」についてです。
受信料を不払いした際の一連の流れ
- テレビ(またはそれに準ずる受信装置)を所有したら、NHKと契約することは法律で決められている
- テレビがあるのに契約をしない場合は、その一部が訴訟問題に発展する
- 契約をして受信料を支払わない場合は、その一部が支払い督促へと発展する
- 裁判になると「受信料を支払いなさい」という判決がでる
大まかに解説すると、NHKと契約しなかった場合や契約して受信料を踏み倒している場合は、その中の一部の運の悪い人が裁判になって、その裁判では「受信料を支払いなさい」と言われます。
今のところNHKは、テレビがあるのに契約していない人や契約して受信料を踏み倒している人全員を訴訟するということはしておらず、現に「逃げ得」になっている人も多数存在するため、ここに公平性はありません。
立花氏が受信料を不払いすることの狙い
受信料の不払いは法律違反ではないことの周知
実際にテレビを見ていても、専門家の方で「NHKに対する受信料の支払いが、法律で定められている」という発言をした人は1人もいないのではないかと思います。
「支払いは義務だ!」という人は、大体が現役の議員だったり、あるいは議員崩れのタレント、芸能人やタレントではないでしょうか。
NHKでも絶妙な言い回しをして「受信料の不払いは法律違反ですよ!」と思わせるように仕向けていますが、実は明確な部分は発言していません。
そして立花氏も実際に受信料を不払いすることによって、それを証明しようとしているというわけです。
受信料の支払い率に応じた減額が認められるかどうか
単に立花氏が「受信契約の締結は義務だから契約するけど、受信料は法律で定められていないので支払いません」と言うだけなら、NHKと裁判になって「立花さんは受信料を払ってくださいね」と言われるだけです。
これまでにも何件も同じ判例が出ているので、これについては現行の放送法がある限りは揺るがないでしょう。
なので「支払いが義務じゃない、不払いが法律違反じゃないと言われたって、結局払うことになるんじゃん」と思う人も大勢出てくると思います。
そこで立花氏は「不払いの人間がいることによって、その分まで支払わされることは不当だ」という大義名分を持って、受信料の不払いをするというシナリオを用意しているようです。
現在、NHKでは受信料の支払い率を約80%前後として公表しています。これが事実かどうかはさて置き、20%の不払いをしている人たちの分まで払わされるのは納得がいかないという訴訟を起こすという考えです。
NHKの放送受信料と言うのは一種の分担金です。
これまでにも立花氏は「NHKの放送受信料を一部の人から免除するという行為は、NHKが損をするのではなく、支払っている人にその分が上乗せされるだけ」と発信してきました。
飲み会などでも会計が2万円で10人いれば、1人当たり2000円という分担金になるわけですが、1人が支払いを拒否することによって9人で20000円を支払わなければいけなくなりますよね。
この例で言うと、1人当たりの支払い額は本来の支払い額である2000円より高くなります。これと同じことが、NHKの放送受信料でも起こっているという訴えなんです。
つまり「支払い率が80%なら、現在の地上料金1310円のうちの262円は、本来よりも余分に払わされている金額のため、減額を求める」という意味です。
この裁判には判例が無いので、どっちに転ぶのかは分かりませんが、個人的には今から非常に楽しみにしています。
裁判に勝っても負けても面白いことになりそう
判決の他に隠されている真実
良くも悪くも、ここ最近のN国党の勢いはすさまじく、個人的には「徐々にN国党を応援する人が増えてきたのではないか」と思っているのですが…。
これまでにもNHKは何度も裁判を起こしており、その度に自分たちにとって都合の良い部分しか報道してきませんでした。
特にNHKの放送受信契約に対して「テレビを持っただけでNHKと契約しなきゃいけないというのは、契約の自由という憲法を犯しているんじゃないか」という裁判において、NHKが合憲と判断されたことは記憶に新しいです。
確かにこの裁判では、司法から「テレビを所有=NHKとの契約が必要」というお墨付きが出ましたが、本当に重要なことは一切報道されませんでした。
<<NHK受信料は合憲!?|みなさんに勘違いして欲しくないこと
今回、もし立花氏とNHKが裁判になれば、どっちが勝っても大きく報道されるでしょう。そして、その判決の裏に隠された真実についても、正しく報じられる可能性が高いです。
N国党は大きな注目を集め、党代表の立花氏に至っては自身のYouTubeチャンネルの登録者数が、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いで増加しています。
もし万が一、NHKにとって不利な情報を流さないテレビ局がほとんどだったとしても、インターネットの情報までも完全に隠しきることは難しいはずです。
立花氏はこれまでも、あえて負ける裁判をしてきた
実は立花氏は、これまでに何度もNHKとの裁判に負けてきました。
本当は勝ちたかっただろうと思われる裁判もありましたが、中には「勝てればラッキー、負けて当然」という裁判も多々あったように思います。
これは勝ち負けよりも「そういう判決をもらうことが重要で、そういう判決を元に行動を起こす」というのが立花氏の真の狙いだったりします。
実際に出た判決を元に、自身が議員をしていた葛飾区を訴えたこともありましたし、裁判の結果を見て「じゃあこれは?これならどういう判決が出る?」という部分を分析しているような雰囲気さえ感じるんですよね。
今回の件に関しても、勝ったら勝ったで国民にアピールできますし、負けたら負けたで二の矢、三の矢を用意しているのではないかと。
もし立花氏の要求が認められるようなことがあれば、一部では「事実とは異なるのでは?」と言われている支払い率も明確にする必要が出てきますし、その結果を受けてスクランブル化に大きく動く可能性も出てくるでしょう。
結論:ただ支払わないのではなく、不公平感について訴えながらの不払い
各種報道では、単に「受信契約はルールに基づいて契約するけど、受信料を支払えという法律は無いから支払わない」と、立花氏がごねているような感じになっています。
しかし実際には「全額支払わないという意味ではなく、一部の不公平な金額は支払いたくない」という主張です。
当然ながら、これがもし認められれば、現在受信料を支払っている世帯が全て減額されることになり、非常に大きな影響を与えることになるでしょう。
仮に認められなかったとしても、必ず何かを用意していると思われるので、これからのN国党の動きにも注目です。