NHKのレオパレス21裁判|最高裁の判決がどのようなものかを解説

家具が備え付けてある賃貸物件は、普通に考えると親切で便利のような気もしますが、実はそうではない落とし穴が潜んでいるかもしれません。

今回ご紹介するのは、家具備え付け賃貸物件の代表格・レオパレス21の入居者がNHKを相手に受信料の返却を求めた裁判についてです。

 

これもまぁ個人的には酷い結果だなぁとは思いながらも、放送法がある以上は仕方ないと思わざるを得ない部分もあって、非常に複雑な心境です。

ただし、やはり報道の仕方に悪意を感じており、あたかも「レオパレスに住んでいる人間は受信料を支払うことが義務だ!」というように報じられているような気がします。

というわけで、このNHK・レオパレス21裁判が一体どのような裁判で、どのような判決が下ったのかについて、分かりやすく紐解いていきたいと思います。

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NHK受信料|レオパレス21裁判

裁判の概要

レオパレス21に入居していた男性が、NHKを相手に受信料1310円の返還を求めた裁判です。

男性は「テレビを設置したのは自分ではないのに、受信料の支払いを求められた」ということで、NHKを相手に受信料の返還を求めました。

 

第一審では「入居時点でテレビが備え付けられており、入居者はテレビ設置者に当たらない」として、契約が無効と判断されたものの、それを受けてNHKが控訴します。

結果、第二審にて「入居者はテレビを占有して放送を受信できる状況にあり、テレビ設置者にあたる」と指摘され「入居者に受信料の契約を結ぶ義務がある」と判断されました。

 

レオパレス21とは?

レオパレス21が何なのかということを知らない人のために、簡単にご説明します。いわゆる「家具家電付き賃貸物件」です。

期間限定の出張などの場合に、身体1つで行って生活できるというメリットがあるので、会社が契約して、その会社に所属する社員が期間限定で済むのに便利なので、短期間の出張が多いという会社には強い人気があるとか無いとか。

今回問題になったレオパレス21では、テレビを始めとする家電や家具が備え付けられているので、入居者(利用者)が支払う必要があるのかどうか等が争点となっていました。

 

本裁判の問題点|受信設備の設置者は誰に当たるか

まず、レオパレス21に設置されているテレビには受信料が発生します。これは間違いありません。その根拠は、放送法第64条に定められている通りです。

ただし放送法の文章をそのまま引っ張ってくると「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない」と定められています。

この「受信設備を設置した者」に入居者が該当するのかどうか、という裁判でした。

 

今回、レオパレス21に入居することになった男性からすると「いや、俺が設置したわけじゃねーし!」というわけです。

更に言うと、NHKは各ホテルとも受信料で揉めていて、ホテルなんかは利用者のために個室にテレビを設置しているわけですが、こちらは「宿泊客ではなく、ホテルのオーナーが支払うこと」となっています。

同じ理論で言えば、レオパレス21も入居者ではなくオーナー(レオパレス21の経営者?)が支払うのが妥当な気もしませんか?

 

裁判の結果|第二審で男性が逆転敗訴

今回注目されていたのは、放送法に定められているテレビの設置者が誰に該当するかという部分です。

放送法では「テレビを設置した者がNHKと契約をしなさい」と定めており、入居男性は「取り付けたのは少なくとも俺ではないから、支払った地上料金1310円を返して欲しい」という主張をしていました。

 

そして第一審では見事に男性側の主張が通ります。「入居時点でテレビが備え付けられてるから、入居者はテレビ設置者に当たらない」と判断されたのが第一審です。

それをNHKが不服とし、迎えた第二審で判決がひっくり返ります。判決は以下の通りです(一部抜粋)。

「受信設備を設置した者」は受信設備を物理的に設置した者だけでなく、その者から権利の譲渡を受けたり承諾を得たりして、受信設備を占有使用して放送を受信することができる状態にある者も含まれると解される

レオパレス受信料裁判の判例

 

「放送法では『設置した者』となってるけど、既に設置されているものを使用できる環境下にいる物も『設置した者』に該当するよ」というような判断です。

つまり、実際にはテレビを設置していない男性も、設置した者(のようなもの)とみなされ、返還を要求していた支払い済みの受信料1310円は返ってきませんでした。

 

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レオパレス21受信料裁判の重要ポイント

この裁判の判決が出たのが2018年8月29日なのですが、まさに「NHK勝訴!」一辺倒で「レオパレス21に住んでいて受信料を支払っていない人は、直ちに支払うように」という方向のニュースばかりでした。

NHKが裁判に勝ったと聞くと、受信料の支払いが義務というか、あたかも法律であるかのように騒ぎ立てる連中がいますが、法律に定められているのは「NHKとの契約」までです。

 

そして今回の件で重要なのは、男性が敗訴したことではありません。

本当に重要なことは、第二審の判決では「設置した者という概念に、入居者も含まれる」と言っているだけなんです。

つまり入居者が受信料を払わなかったとして、法解釈的には「レオパレス21か、借り上げている会社か、入居者かのいずれかが支払えばOK」と言っているわけで、何も入居者が支払わなければならないという判決ではありません。

 

集金人は弱いところから集金しようと考えるハズなので、恐らく入居者に支払いを迫ることと思います。

契約は法律上定められていますが、支払いに関しては法律上で定められてはいませんし、司法の判断も「入居者に払えと言っているわけではない」ので、誤解しないように注意しましょう。

 

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ちなみにレオパレス21側の見解は「入居者が負担」

備品のテレビを引き上げていただくことはできますか?|賃貸のレオパレス21|賃貸アパートやマンスリーマンション、一人暮らしの物件情報
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上記のスクリーンショットは、レオパレス21の公式サイトの「よくある質問」から拝借したものです。赤線部分にあるように、NHKの受信料は入居者の負担とすると記載されています。

また、他にも質問コーナーを覗いてみましたが「テレビを移動させたり、テレビは不要などの要望にはお答えできません」などの記述もあったので、レオパレス21側は完全に客側に丸投げしているような状況です。

 

ちなみにNHKから国民を守る党の立花孝志氏は「今度はレオパレス21を相手に裁判してみたらどうだろうか?」という考えを持っていて、今後もしかすると「受信料を巡って、入居者とレオパレス21が対峙」という展開があるかもしれないので、引き続き注目したいと思います。

とりあえず、レオパレス21に入居しようかどうかを悩んでいる方は、事前に「家具の有無などを確認したうえで、もしテレビ付きであれば地上料金1310円をプラスした金額が家賃になる」ということを踏まえてご検討ください。

 

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結論:「勝訴!」の影に大事な情報を隠しがち

今回の裁判では、あたかも「入居者の男性にのみ、支払い義務が生じる」というニュアンスの報道のされ方でしたが、そんなことは誰も言ってません。

「テレビを設置した者には、入居者も含まれる」という判決が出ただけで、設置者は他にもいるので誰が払ってもOK(入居者が払うべきという問題ではない)というものです。

 

ちなみに、色々調べてみましたが「入居者が入っていない時期のレオパレス21の空室の受信料は、ちゃんとレオパレスが払っているんだろうか?」という疑問の答えはでませんでした。

もし払っていないとすれば、ホテルの受信料問題でオーナーに払えって言ってるのもおかしいですし、なんかNHKの言い分がメチャクチャな気がします。

というか、NHKのメチャクチャな言い分が通ってしまう、今の曖昧な放送法に問題があると言うべきかも。一刻も早く改正して欲しいと切に願います。