NHKネット同時配信の目的|スマホがあるだけで受信料が発生!?

NHKは4月1日から、放送のネット同時配信と見逃し配信を実現する新サービス「NHK プラス」を開始すると発表しました。

これによって多くの人は「テレビだけでは飽き足らず、スマホを持っているだけで受信料を取りにきたのでは?」と感じたのではないでしょうか。

以下では、現段階におけるNHKネット同時配信の目的、当面の料金設定などがどうなっているのか等について簡単に解説していきたいと思います。

 

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NHKネット同時配信の目的

現在の受信料はテレビ、ワンセグなどが対象で、ネットは対象外

2020年1月現在、NHKの受信料は放送法が定めるところにより以下のように定められています。

(受信契約及び受信料)

第六十四条  協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。ただし、放送の受信を目的としない受信設備又はラジオ放送(音声その他の音響を送る放送であつて、テレビジョン放送及び多重放送に該当しないものをいう。第百二十六条第一項において同じ。)若しくは多重放送に限り受信することのできる受信設備のみを設置した者については、この限りでない。

放送法第64条

 

ここではテレビとは書かれておらず、「協会の放送を受信することのできる受信設備」と定義されています。そして「放送の受信を目的としない場合は~」というようなことも書かれています。

これらの文章を素直に日本語として解釈しようとすると「NHKの放送を目的として設置していないテレビなら、受信料を払う必要はないのでは?」とか、あるいは「携帯電話のワンセグは設置とは言わないのでは?」と考える人が多いのではないでしょうか。

 

しかし色々な裁判の結果、現状は以下の通りです。

  • テレビがあるなら、その時点でNHKと契約をしなければならない(電化製品店のテレビ置き場などはこの限りではない)
  • 携帯電話、スマホのワンセグ、カーナビ等もテレビと同様の扱いとなる
厳密に言うと「NHKの放送の受信を目的としている」という部分で争った裁判の判例がないので、ここではNHKの言い分を採用していますが、カーナビの裁判において放送の受信を目的としていないカーナビについても受信料を支払うような判決が出ているため、個人的には「テレビがある=受信料を支払え」となるのではないかという考えです。

 

放送法が出来た時には携帯電話はもちろん、ワンセグなども無かったわけですが、当時の法律がここまで拡大解釈されているというのも1つの事実です。

そして現時点では「スマホを持っていてもワンセグ機能がなければ、NHKとの契約義務は発生しない」ので、ワンセグ機能のないiPhoneを使用していれば、現段階ではスマホを理由に受信料の支払いを迫られることはありません。

 

「ネットで配信=スマホやパソコンがあれば受信料を支払え」となるのでは?

NHKがネット配信をするということで、私を始め多くの人の脳裏をよぎったのは「パソコンやスマホを持っているだけで、NHKは受信料を奪いに来るのでは?」という不安ではないでしょうか。

ちなみにNHKネット同時配信(NHKプラス)は、実施前の現段階においては「受信契約者には追加料金は発生しない/申し込みには放送受信契約情報が必要」となっています。

つまり「既にNHKと契約状態にあり、NHKに受信料を支払っている人が利用できるサービス」ということであり、あくまで現時点では「パソコンやスマホを持っているなら受信料を払え!というものではない」ということです。

 

当面は「パソコンを持っているだけでNHKの放送受信料を取られるのでは?」という心配は必要ないでしょう。そしておそらく現行の放送法では、そこまでの横暴は許されないのではないかと思います。

あるとすれば国会で話し合いが行われ、放送法の中に「ネット通信とNHK受信料に関する条文が盛り込まれてから」になるのではないでしょうか。

 

NHKネット同時配信の目的は?

かねてからNHKは、ネット界への進出を示唆する発言を多々していました。それが2020年の東京オリンピックのタイミングになって、遂に実現するということだと思います。

もちろん根底には「ネット利用者からも受信料を取りたい」という思惑があることでしょう。ただし、個人的にはこれはNHKにとっても相当厳しいハードルだという印象です。

 

現在、「NHKをぶっ壊す」というワンイシューで当選する政党がある時代に、「ネット利用=受信料という法案を通すような政党が支持されるかどうか」という部分でもキツいのではないかと。

もちろん国会議員の誰かが「ネットを利用する=受信料を払うべきだ!」と言い出し、そういう悪法を作ろうとし、それを国民が支持するのであれば、インターネット=受信料(スマホを持つだけで受信料)という世の中になってしまうでしょう。

 

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NHKネット同時配信のメリットとデメリット

  • メリット:NHK視聴者なら見逃し配信が利用できるようになったり、移動先でもスマホでNHKの放送を見ることが可能になる。
  • デメリット:NHKを全く見ないという人が、スマホを持っているというだけで将来的に受信料を支払うように迫られる可能性が出てくる。

 

「NHK プラス」にどんなメリットがあるのか、簡単に調べてみました。ハッキリ言ってNHKがすごく好きで、NHKの番組を見る習慣がある人にとっては、かなり嬉しいシステムじゃないかと思いました。

有名女優さんが薬物で捕まってしまい、代役を立てて臨んだ大河ドラマが話題のようですが、このようなドラマを毎週楽しみにしている人が、もし「録画し忘れた!/ちょっと用事ができて見られなかった!」という場合は、非常に便利になるでしょう。

 

一方で私のような「NHKなんか見ることがない」という人にとっては、何の恩恵もありません。「ゆくゆくはネット環境があるだけで受信料を請求されるリスクが増えるだけ」です。

ただしそうなったとしても、あくまで言い出しっぺの国会議員が出てきて、それが国民に支持されてようやく実現されるという話だと思うので、NHK側にとっても決して低いハードルではないんじゃないかと思います。

 

ちなみに現時点では、NHKとの契約者の情報で5アカウントまで登録可能らしいので、世帯主が契約していれば、その配偶者を始めとする家族の人間も同一の契約内容で利用できるように考慮されていて、二重で受信料を取られるということはないようです。

ただし、ご家族が大人数の場合にあぶれてしまったり、あとは事業所のパソコン等は別扱いになったりなどのケースについては、これから検討段階らしいので、興味のある人は引き続き注目してみることをおすすめします。

 

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結論:未契約者にはスクランブルでOK

ちなみに契約していない人については、ネットの画面に契約情報の入力を促すメッセージを掲載し、見逃し配信の利用は出来ないようにするようです。

個人的には「契約情報を打ち込んでいない人にはそもそも配信しない」というシステムを組んでもらって、「それと同じことをテレビでもやってほしい」という感想しかありません。

いずれにしてもNHK料金が払いたくなくてテレビを持たないことを選択した人は結構いると思いますが、同じ理由でネットを捨てるのはやや厳しいので、ネット利用=受信料とはならないようにしてほしいと思っています。