2020年3月から試験的に始まったNHKのインターネット放送「NHKプラス」ですが、4月1日から本格的にスタートしましたね。
スマホやタブレットなどでもNHK放送を視聴することができ、見逃し配信などにも対応していることから、NHKの大河ドラマや朝ドラ、大相撲などを楽しみにしているユーザーにとっては、これまでのテレビ視聴に新しい風が吹いたのではないでしょうか。
一方で、NHKにそもそもインターネット配信を求めていない層からは「こんなのテレビがない家からも受信料を取るための策略じゃないか?」という疑問さえ出ており、ネットニュースの一部では「全世帯受信料徴収の布石なのでは?」と報じるメディアも。
個人的には、インターネットの世界にもNHKが進出してきたことに対して、確かに不安があるものの、一方で「私たちにとって有利な要素もあるのでは?」と思っています。というか、NHKがやりたがらないんじゃないかというのが私の考えです。
今回は私なりに「NHKプラスによる全世帯受信料徴収の可能性」について、思う部分を書いていきたいと思います。
NHKプラスとは?
NHKプラスとは、従来のテレビ放送だけでなく、スマホやタブレットを使用したインターネット回線を通じてNHKの放送が見られるようになったサービスのことです。
朝ドラ、大河ドラマなんかはNHKのコンテンツの中でもたびたび話題に挙がるような人気コンテンツのようですが、これらを見逃してしまった場合でも一定期間内であれば見ることができたり、移動中にNHKの放送を見たりできるというのがメリットとなっています。
一方で、これまではNHKの受信料の支払いにおいて「テレビ、ワンセグ、カーナビの有無の確認」に留まっていましたが、今後はこれに加えて「パソコン、スマホ、タブレットの有無の確認」まで範囲が広がるのではないかと、不安の声も挙がっています。
詳しくは以下の記事をご覧ください。

NHKプラスによる全世帯受信料徴収の可能性はゼロ
これはあくまで私の現時点での見解ですが、NHKプラスが目論んでいるのは全世帯からの徴収ではなく、徴収可能な範囲の拡大じゃないかという考えです。
「テレビやワンセグ携帯、カーナビは持っていないけど、ネット機器は持っているという層からの受信料の徴収が目的」ということはあっても、その範囲を全世帯にまで拡大しようという考えはないと思います。
理由は「全世帯受信料徴収になってしまうと、NHK内部でも損をする人間が出てくるから」です。あくまで私の考えなので恐縮ですが、以下にその理由を書いていきます。
「全世帯から徴収=国営放送、税金扱い」になるのでは?
全世帯から受信料を徴収するとなると、受信料は税金のような扱いとなり、国営放送のような存在になるのではないかと思います。
(もし国営放送の立ち位置にはならず、税金でもなく、全世帯から徴収ということが可能なのであれば、それをされると困ってしまいますが…)
ニュース、育児番組などはさて置き、その他の娯楽番組を税金を使って制作するとなれば、今よりもNHKに対する風当たりは強くなりそうな気がしませんか?
少なくとも見たい人がお金を払うというシステムであれば、メジャーリーグだろうがワールドカップだろうが放送してもらって構いませんが、税金でやるってことになれば、「そういう娯楽は民放に任せて」って声が大きくなるように思います(知らんけど)。
受信料が全世帯になれば、営業費がカットできる
もしNHKが国営放送のような立ち位置になり、そして受信料は税金から捻出されるということになれば、地上放送か衛星放送かなどのややこしい契約も一本化されることでしょう。
そしてNHK集金人の人件費、各都道府県にあるNHKの営業センターが不要になるはずです。さすがに全世帯が支払い対象になるのであれば、今のような集金人が1世帯ずつ回って徴収するようなシステムは一新されると思います。
ちなみにNHKの営業費は、NHKに入る莫大な受信料の10%前後とも言われており、2020年度の予算は765億円だそうです。
営業センターの人たちが普段からどんな仕事をしているのかは不明ですが、一般の会社に比べて高給取りであることは想像に容易く、この765億円というお金で一部の人間が美味しい思いをしていることは間違いないでしょう。
例えば最近、NHK集金人と結託して、個人情報を不正に利用してお年寄りからお金を騙し取ったカタギとは思えない人間が逮捕・起訴されました。
もしNHK集金人の中に反社会的勢力がいたとして、真っ当な仕事に就けないこの人たちが、自分たちの食い扶持が無くなるのを指をくわえて黙って待っているだけとは到底思えません。
ここからは私の勝手な推測ですが、そういう人間に仕事を振って見返りをもらったり、コネなどで営業センターに勤めたりなど、美味しい思いをしている人が少なからずいるような気がします。
これが無くなってしまうのであれば、NHKとしても「全世帯から徴収=必ずしも嬉しいとは限らない」という図式が当てはまると思いませんか?
全世帯受信料徴収が実現すれば事業縮小は確実
全世帯から受信料を徴収できるようになれば、営業費は全カットになるのが自然です。
更に言うと、NHKの受信料は分担金と言って、トータルの金額が決まっていてそれに応じて支払う人数で割るタイプのお金です。
種別 | 支払方法 | 月額 | 2ヶ月前払い額 | 6ヶ月前払い額 | 12ヶ月前払い額 |
---|---|---|---|---|---|
地上契約 | 口座・クレジット | 1225円 | 2450円 | 7015円 | 13650円 |
継続振り込み等 | 1275円 | 2550円 | 7300円 | 14205円 | |
衛生契約(地上契約を含む) | 口座・クレジット | 2170円 | 4340円 | 12430円 | 24185円 |
継続振り込み等 | 2220円 | 4440円 | 12715円 | 24740円 | |
特別契約 | 口座・クレジット | 955円 | 1910円 | 5475円 | 10650円 |
継続振り込み等 | 1005円 | 2010円 | 5760円 | 11205円 |
2020年4月現在のNHKの放送受信料の額面は上記の通りですが、厳密に言うとこれは「未払い者が一定数存在するため、本来よりも多く請求されている額面」となっています。
極端に言えば「現在、受信料の未払いをしている人が全員払ったら、この額よりも低い額になる」という理屈です。つまり、もし全世帯から受信料を徴収なんてことになれば、この額は下がることになります。
そもそも税金から捻出するなんてことになった時に、今はNHKに味方をしている国会議員の先生たちが、いつ反旗を翻すかなんてのは分かりません。
それに今のNHKは、ビジネスホテル等から部屋の数だけの受信料を取ったりしているのですが、これが全世帯から徴収となった時に「部屋の数=世帯数」と見なしてもらえるのかも甚だ疑問です。
であれば、今のように7000億円ほどの予算を組める状態で、不透明な800億弱の予算を持っている今の方が、むしろやりやすいと思うのでは?
全世帯から徴収すれば一種の不公平感はなくなる
現在、問題になっているのは「真面目にルールに則って受信料を支払っている人が、ある意味で損をしているという構図」です。
世の中にはNHK受信料を支払うくらいならテレビは不要だということで、家からテレビを捨てた私のような人も少なくないと思いますが、一方で「テレビはあるけど、NHKは見ないから支払わない」とか、もっと言えば「テレビはあってNHKも見てるけど、払いたくない」というゴネ得も存在しています。
もし全世帯受信料徴収ということが現実のものとなれば、ある意味では公平なカタチになるので、これはこれでアリのような気もしました(少しだけ)。
ただ、もし公平性をゴリ押しして全世帯からの受信料の徴収を掲げるのであれば、放送内容に関する公平性も追及されていくことになるでしょうし、大河ドラマや朝ドラ、相撲中継に全く興味がない人への公平性などを無視しているようでは、また徐々に反発されていくのではないかと思います。
というわけで、本当の意味で公平性を求めるのであれば、見たい人がお金を払ってみられるようにし、お金を払っていない人からは見る権利を奪う、いわゆるスクランブル化がベストだと思うのですが…いかがでしょうか。
結論:スクランブル化が最善
現在は、時代にそぐわない放送法とNHKが勝手に決めた規約のせいで、「テレビを持つ=NHKと契約しなければならない」となっていますが、そもそも契約の自由がないという点において、ここから見直していくべきだと思います。
NHKがインターネットの世界に進出してきたこと、こっちからすると迷惑以外の何物でもないのですが、スクランブル化してNHKを見たい人がNHKのコンテンツを楽しめるようにすれば、特に不満は出ないはず。
公共の福祉うんぬんを謳うのであれば、まずは契約の自由を掲げてほしいものです。